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口頭

中性子非弾性散乱によるタンパク質の揺らぎと水和水ダイナミクスの研究

中川 洋; 片岡 幹雄*

no journal, , 

一般にタンパク質は、水和することで240K近傍で構造の揺らぎが大きくなる動力学転移が見られる。本研究では、タンパク質の動力学転移がなぜ水和で生じるのかを明らかにすることを目的とし、非干渉性中性子非弾性散乱実験と分子動力学計算によって動力学転移における水和水の構造やダイナミクスを調べた。タンパク質の水和率を段階的に変えて中性子散乱実験により動力学転移を測定したところ、水和率が0.37(g water/g protein)以上で動力学転移が顕著に現れることがわかった。次に、水和構造の水和率依存性を調べるために水和率を変えた分子動力学計算を行ったところ、低い水和率では多くの水和水がタンパク質表面に孤立して存在するのに対し、高い水和率では水和水間に水素結合が形成され、水素結合ネットワークがタンパク質表面全体を取り囲むことがわかった。この解析から、水和構造のネットワークサイズが急減に増加する水和率が、動力学転移が顕著になる0.37に一致することを明らかにした。またネットワークサイズの変化はパーコレーション確率の変化と対応しており、動力学転移は水和水のパーコレーション転移が本質であると結論した。さらに、水和水のダイナミクスを直接観測したところ、パーコレーション転移により水和水は大きく動くことを示した。タンパク質の動力学転移は、水和水ネットワークのダイナミクスとのカップリングによって生じるといえる。

口頭

J-PARCの新しい単結晶構造解析装置「SENJU」の建設

及川 健一; 田村 格良; 大原 高志; 金子 耕士; 川崎 卓郎; 中村 龍也; 坂佐井 馨; 新井 正敏; 木村 宏之*; 鬼柳 亮嗣*; et al.

no journal, , 

J-PARC/MLFのBL18では、共用促進法に基づき新しい単結晶構造解析装置「SENJU」が、昨年度末より急ピッチで建設されている。SENJUは、1MWにおいて0.5mm角の単結晶を用いた実験を可能とし、中性子が得意とする複合特殊環境下での精密構造解析を目指す装置である。SENJUでは実験室系のX線回折実験での標準的なサイズである0.1mm$$^{3}$$で実験可能とし、また低温・高温のみならず磁場や圧力,電場,ガス雰囲気などを組合せた環境下での測定を比較的容易に実現することにより、展開されるサイエンスのすそ野は非常に広範囲に拡がることが期待される。本装置成功の鍵を握る改良型大面積検出器の仕様決定及び製作においては、同施設で稼働中のiBIXのために開発された2次元検出器で蓄積された技術・ノウハウを最大限活用している。SENJUは平成22年度末に建設を完了し、平成23年夏前に初ビーム受け入れを目指している。

口頭

時間・空間同時集光型結晶アナライザーの開発,1

高橋 伸明; 柴田 薫; 川北 至信; 中島 健次; 相澤 一也; 佐藤 卓*; 篠原 武尚

no journal, , 

筆者らは、結晶アナライザー型中性子非弾性散乱実験装置の性能を向上させることを目的として、計算機シミュレーションによる性能評価を元に、時間集光・空間集光が同時に成立しQ分解能も向上する独創的な複合集光型結晶アナライザーの開発に取り組んでいる。ここでいう結晶アナライザーは、規則的に配列された12mm角の小さな結晶ウエハの集合体(ユニット)として定義している。ユニットにおける結晶ウエハの位置や傾きなどは、種々の配列理論に基づき設計される。従来型のエネルギー集光型配列には、単一のユニットが反射する中性子が検出位置で時間的にも空間的にも集光しないという問題点があった。時間集光しないことは、元来飛行時間法を分光原理とする実験装置においては問題である一方、空間集光しないことは、アナライザー単結晶自身の熱散漫性散乱に由来するBragg角度周辺の微少offset角度への反射ビームを同時に検出器に取り込んでしまうことによってバックグラウンドが増大する原因となっていた。昨年度より、科学研究費補助金基盤C(課題番号21604007)の助成を受け、新しい配列理論における集光効果の実証研究に着手した。本発表では、配列理論を詳説する。また今年度より開始した5列1段のアナライザーユニット試験体について、J-PARC物質・生命科学実験施設BL19において行った中性子ビーム実験の結果についても紹介する予定である。

口頭

JRR-3のC3冷中性子導管の輸送効率向上,2

田村 格良; 新居 昌至; 永堀 和久; 羽沢 知也; 佐川 尚司; 和田 茂

no journal, , 

原子力機構ではJRR-3のC3冷中性子導管の冷中性子輸送効率の向上を実施している。C3冷中性子導管は大きく分けて曲導管部と直導管部に分かれる。平成21度より競争的資金である原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブによる事業によって曲導管部を、さらに今年度は直導管部の一部をスーパーミラー化することとし、準備を実施している。本スーパーミラー化実施後の中性子ビーム強度並びにスペクトルをMcStasによって評価したのでその結果を報告する。冷中性子導管のスーパーミラー化において、3Qc(反射率80%)の中性子ミラーを使用した中性子導管に交換するが、中性子導管のサイズ、設置における曲率半径及び設置精度は変更しない。計算の結果、曲導管部+直導管7体の交換を実施すると、C3-1ビームポートでは既存の2.8倍の強度の中性子ビームが輸送されることが明らかになった。曲導管部だけの改良では既存の2.3倍の強度増強との計算結果が得られているので、さらなる輸送効率向上が見込める計算結果が得られた。一方、C3-2ビームポートでの計算の結果、既存の2.17倍の強度の中性子ビームが輸送されることが明らかになった。

口頭

J-PARC超高圧中性子回折装置PLANETの目指すところと建設状況,2

服部 高典; 有馬 寛; 佐野 亜沙美; 内海 渉; 鍵 裕之*; 八木 健彦*

no journal, , 

超高圧中性子回折装置PLANETは、J-PARC物質生命科学実験施設(MLF)に建設されている高圧専用の分光器である。「水素をよく見ることができる」という中性子の特徴を活かし、地球ダイナミクスに及ぼす水の影響を調べることを主たる目的としている。その最大の特徴は一軸あたり500トンの最大荷重を持つ6油圧6軸型の大型高圧プレス(通称:圧姫)を分光器室内に導入し、高圧高温(20万気圧,2000K以上)における物質(結晶・液体)の状態を、中性子回折,中性子イメージング技術を使って調べることができる点である。現在、新学術領域研究及び学術創成研究の科研費を資金に建設が進められている。この夏までに、分光器室である遮蔽体,実験に必要な中性子を切り出すチョッパー,試料部までに効率的に中性子を輸送するスーパーミラーガイド管,放射線安全を担保するインターロックのインストールを終え、ビームを受け入れる準備が整った。現在、高圧プレスの詳細設計,検出器架台の詳細設計,入射コリメータの概念設計を行っている。これらの機器は来年の夏にインストールが終了し、中性子ビームを用いたコミッショニングが始まる予定である。

口頭

カメラ型デバイスを用いたパルス中性子イメージング技術の開発

瀬川 麻里子; 甲斐 哲也; 大井 元貴; 呉田 昌俊

no journal, , 

非破壊での2次元可視化元素分析技術は基礎科学,応用科学,産業分野などからその開発・高度化が期待されている。本研究はパルス中性子を用いた2次元TOFイメージングによる核種ごとの可視化・計測を目指した新技術の確立を目的とする。そこで、これまで原子力機構が開発した高速度撮像中性子ラジオグラフィ技術(HFR-NR)を基盤技術として、2種類の新たなイメージング装置を開発した。1つ目は中性子エネルギー弁別型イメージングを目指し高速度カメラを使用したTOFイメージングシステム、2つ目は高解像イメージングを目指し、産業用カメラを用いた単一中性子エネルギーイメージングシステムである。本報では基礎実験に用いた2種類の撮像システムとその性能評価及び中性子共鳴領域における2次元TOFイメージング実験の結果を報告する。

口頭

工学材料回折装置「匠」用データリダクションソフトウェア

伊藤 崇芳; 中谷 健; Harjo, S.; 有馬 寛; 阿部 淳; 相澤 一也; 稲村 泰弘; 鈴木 次郎*; 大友 季哉*

no journal, , 

大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)に建設された工学材料回折装置「匠」は工学材料に関するさまざまな問題を中性子回折法により明らかにするための装置である。匠では繰り返し負荷試験や材料製造過程を模してのその場測定など、時分割測定を利用する測定が多くある。MLFで採用されているイベント記録方式のデータ収集システムにはさまざまな利点があり、時分割測定への親和性はその一つである。匠ではいち早くイベントデータを利用した時分割測定を行ってきたが、周辺機器の整備やビーム強度の増大により、時分割測定を行う機会はますます増えていくと考えられる。そこで、ヒストグラム化を行うデータリダクションソフトウェアについて、ヒストグラム行列を基盤とするなど改良を加えてその利便性を向上させた。本発表ではそれらの改良点を実験の実例を交えて報告する。

口頭

偏極$$^{3}$$He中性子スピンフィルターのガラスセルの開発状況

坂口 佳史; 吉良 弘; 奥 隆之; 篠原 武尚; 鈴木 淳市; 酒井 健二; 中村 充孝; 鈴谷 賢太郎; 相澤 一也; 新井 正敏; et al.

no journal, , 

偏極中性子散乱実験において、2${AA}$以下の短波長の中性子にも対応でき、大立体角をもつことのできる中性子偏極デバイス、偏極$$^{3}$$He中性子スピンフィルターの開発を行っている。$$^{3}$$Heフィルターを中性子散乱実験に用いるに際しては、$$^{3}$$Heガスを詰める容器であるガラスセルの開発が重要な要素のひとつとなっている。われわれはセルの大型化を目指してきたが、最近、約200時間の緩和時間を持つ窓径5cm、長さ7cmのセルを製作することができた。また、ガラス素材として、GE180というアルミノシリケート系ガラスがよいとされているが、経験的に、膨らましたガラスで緩和時間が長くなると言われている。こうした違いとミクロ構造の変化に相関があるかどうかを調べるため、SPring-8 BL04B2においてガラスのX線回折測定を行った。測定の結果、膨らましたGE180ガラスは、O-Si-O又はSi-O-Siの結合角により広い分布のある構造を有していることがわかった。発表では、結果の詳細を報告し、Heフィルターセルに適したガラス構造について議論する。

口頭

中性子小角散乱装置SANS-J-IIにおける$$^{3}$$Heスピンフィルターを用いた偏極解析

坂口 佳史; 吉良 弘; 奥 隆之; 篠原 武尚; 鈴木 淳市; 酒井 健二; 中村 充孝; 相澤 一也; 新井 正敏; 能田 洋平; et al.

no journal, , 

JRR-3の集光型偏極中性子小角散乱装置SANS-J-IIには、入射中性子を偏極,輸送するための各種偏極デバイスが整備され、散乱実験に供されている。今回、SANS-J-IIにおいて、現在われわれが開発している偏極$$^{3}$$He中性子スピンフィルターを用いた散乱中性子の偏極解析実験を行ったので、その結果について報告する。$$^{3}$$Heスピンフィルターには、6.7atm cmの$$^{3}$$Heガスの入った封じ切り型スピン交換光ポンピングセルを用い、窓径$$phi$$4cmの大きさで二次元検出器に入るすべての散乱中性子をフィルターできるよう、試料から散乱側17cm離したところにこれを設置した。試料には0.1-0.5$AA$^{-1}$$のQ領域で4つの干渉性散乱ピークを有するsilver behenateを用いた。非偏極中性子を用いた測定からは、干渉性散乱第一ピークに対し水素のスピン非干渉性散乱成分は20%程度の強度を持つと予想されたが、偏極解析測定によって分離され、得られたスピン非干渉性散乱成分はこれとほぼ同程度であった。発表では、スーパーミラーアナライザーを用いた偏極解析実験の結果も報告する。

口頭

単結晶中性子回折装置SENJUのための検出器の開発

川崎 卓郎; 中村 龍也; 坂佐井 馨; 藤 健太郎; 片桐 政樹*; 曽山 和彦; 及川 健一; 金子 耕士; 田村 格良; 大原 高志

no journal, , 

現在、J-PARC/MLFのBL18において新しい単結晶中性子回折装置「SENJU」の建設が進められている。SENJUには逆格子空間の広い範囲を一度に測定するために12のバンクに各3台ずつと、真空槽下部に1台の計37台(運用開始時31台)の大面積2次元検出器が設置される。われわれはiBIX用検出器の開発で培ってきた要素技術を基礎として、SENJUの性能の実現に不可欠な波長シフトファイバを用いた大面積2次元シンチレータ検出器を開発している。検出器1台あたりの中性子有感度領域は256mm$$times$$256mm(4mm$$times$$4mm/pixel)であり、これらを円筒状に配置することで試料周囲の全立体角の1/3程度を覆うことが可能である。また、SENJUはさまざまな試料環境下における物質構造研究を目的としており超伝導マグネットの導入が予定されているが、検出器にはマグネットからの漏れ磁場が光電子増倍管に影響を与えないよう対策を施すことが必須である。本発表ではプロトタイプ機の試験結果や開発の現状について述べる。

口頭

高圧発生装置を用いたJ-PARC「匠」での粉末中性子回折実験

阿部 淳; 有馬 寛; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 深澤 裕; 内海 渉; 小松 一生*; 荒川 雅*; 飯塚 理子*; 鍵 裕之; et al.

no journal, , 

これまでJ-PARCの「匠」を用いた高圧中性子回折実験を行ってきた。高圧発生装置には、海外の中性子実験施設で汎用的に使用されている一軸圧縮型のパリエジンバラプレスと日本で開発された試料を六方向から加圧するパームキュービックセル、及び大型のナノ多結晶ダイヤモンドをアンビル材に用いたダイヤモンドアンビルセルを使用している。これまで匠で行った高圧中性子回折実験の概要と吸収補正などのデータ解析方法、さらには補正したデータを用いた結晶構造解析について説明する。

口頭

背面反射型Si結晶アナライザー分光器DNAの建設状況報告

柴田 薫; 高橋 伸明; 川北 至信; 中島 健次; 神原 理; 稲村 泰弘; 中谷 健; 相澤 一也; 曽山 和彦; 及川 健一; et al.

no journal, , 

背面反射型Siアナライザー分光器DNAは、J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)結合型モデレータビームラインBL02にSi完全結晶ウエハを結晶アナライザーに用いる背面反射型逆転配置飛行時間型分光器として、約1$$mu$$eVの高エネルギー分解能を実現し、原子,分子,スピンのナノ秒オーダーの運動を測定する目的で本格的に建設が進められている。研究成果の期待される分野としては、生体関連物質の機能解明,高分子等のソフトマター物質,電池材料,触媒材料等の機能性材料の開発,磁性物質等が検討されている。建設計画は平成21年度から3年間の予算で建設することが決定し現在(H22.11)ビームライン遮蔽体の設置中である。装置建設の完成は、平成23年6月頃を目標として、その後約半年間、コミッショニングを行い、平成24年4月以降供用運転を開始する予定である。

口頭

生体高分子用中性子単結晶回折装置BIX-3,BIX-4による2009-10年度の研究成果; 窒素吹付け型低温装置の導入

栗原 和男; 玉田 太郎; 大原 高志; 黒木 良太

no journal, , 

生物分子構造機能研究グループでは、生体高分子用中性子単結晶回折装置BIX-3,4(原子力機構・JRR-3)を用い、タンパク質等の生体高分子における水素・水和構造と機能の解明を進めている。BIX-3,4装置高度化の一環として、両回折装置の試料環境に設計した新規の試料ゴニオメータと組合せた窒素吹付け型低温装置(到達温度:100K)を導入した。2010年度は、タンパク質大型結晶に対して本低温装置を適用した測定を本格的に開始した。$$beta$$ラクタマーゼToho-1(共同研究先:理化学研究所・宮野主任研究員)は、抗生物質の$$beta$$-ラクタム環を加水分解し不活性にする酵素の一種であり、バクテリアが抗生物質への耐性を示す原因物質の一つである。BIX-4を用い、そのR274N/R276N変異体結晶から、常温での実験結果に基づいた格子定数と結晶体積から予想される分解能を上回る1.5${AA}$分解能の回折イメージ取得に成功した。現在、回折データセットを収集中である。今後、$$beta$$ラクタマーゼの認識・反応機構を解明し、将来の抗生物質との複合体結晶の構造解析と併せて、阻害剤開発に有用な情報を得ることが期待できる。

口頭

高圧力下単結晶中性子回折によるHoB$$_2$$C$$_2$$の圧力効果の研究

山内 宏樹; 長壁 豊隆; 松岡 英一*; 小野寺 秀也*

no journal, , 

正方晶HoB$$_2$$C$$_2$$は、磁気相互作用,四極子相互作用が拮抗した状態にあり、磁気転移($$T_N$$=5.8K)直下で四極子転移($$T_Q$$=4.5K)を示すことで知られている。$$T_Q$$以下(III相)では、波数ベクトル$$k_1=(1, 0, 0)$$, $$k_2=(0, 1, 1/2)$$で表され、反強磁性(AFM)秩序と反強四極子(AFQ)秩序の競合状態を強く示唆する特徴的な磁気構造を示す。このような複数の相互作用が拮抗状態にある物質では、圧力により新奇相の誘起が期待できるが、HoB$$_2$$C$$_2$$の圧力実験に関する報告は過去に例がない。そこで、われわれは単結晶中性子回折を用いてHoB$$_2$$C$$_2$$の二つの相転移に対する圧力効果を初めて調べた。RB$$_2$$C$$_2$$系全般で最も基本となる磁気相互作用を反映する$$k_1$$成分構造と、AFQ秩序に伴うc軸二倍周期を反映する$$k_2$$成分構造の個々の圧力変化を介して磁気,四極子相互作用の圧力依存性の評価を試みた。圧力実験の結果、$$T_N$$は10GPa付近まで単調増加するという加圧による磁気相互作用の増強を示唆する証拠が得られた。一方、$$T_Q$$は2GPa付近まで緩やかに上昇し、4GPa付近で急速に消失する振る舞いが見られた。これは、加圧によってAFQ秩序が安定に存在できなくなることを示している。1.4Kでは磁気構造の圧力依存性も調べ、III相で観測される磁気散乱出現パターンとの明瞭な差異から圧力誘起による磁気秩序相が4GPa以上で少なくとも二つ存在することを見いだした。

口頭

MLF計算環境の現状

中谷 健; 稲村 泰弘; 伊藤 崇芳; 大原 高志; 川北 至信; 大友 季哉*; 鈴木 次郎*; 武藤 豪*; 小嶋 健児*

no journal, , 

平成22年度、MLF計算環境は、(1)ソフトウェアフレームワーク"IROHA"のデータベース対応,(2)自動測定ソフトウェア"Experiment Scheduler",(3)MLF内でのオフラインデータ解析環境,(4)IROHAが対応する試料環境制御機器の拡充、の整備を開始した。(1)の開発により測定やデータ解析のさまざまな情報がデータベースに取り込まれ、測定データと合わせてデータ管理される。(2)については、ISISの研究者と共同で開発を行い、最終的に測定と解析を自動実行可能にするソフトウェアを目指して開発を行っている。(3)では、オフライン解析用データストレージとデータ解析端末を整備し、MLF内でユーザーが利用しやすいデータ解析環境を構築する。(4)では、今年度新しく建設される装置のソフトウェア開発によりIROHAが対応する試料環境機器が拡充される予定である。発表ではこれらの整備状況の詳細と現状について述べる。

口頭

中性子散乱によるアクチン水和水ダイナミクスの解析

藤原 悟; Plazanet, M.*; 松本 富美子; 小田 俊郎*

no journal, , 

蛋白質アクチンは、真核細胞に最も豊富に存在し、細胞運動に関係する多様な機能を持つ。アクチン単量体(G-アクチン)は重合して螺旋状重合体F-アクチンを形成する。このF-アクチンの「柔らかさ」が機能の多様性において重要であることが指摘されているため、われわれは、F-アクチンの柔らかさの起源であるアクチンの内部運動特性を中性子散乱により調べてきた。中性子非干渉性弾性散乱及び中性子準弾性散乱(QENS)測定により、F-アクチン及びG-アクチンの運動特性の違いを示した。蛋白質の運動特性は、蛋白質水和水の運動特性と密接に関係すると言われている。そこで、F-アクチン及びG-アクチンの内部運動特性と水和水の運動特性との関係を調べるために、F-アクチン及びG-アクチンそれぞれのH$$_{2}$$O水和粉末試料及びD$$_{2}$$O水和粉末試料の中性子準弾性散乱測定を行い、その差から水和水のQENSスペクトルを抽出した。解析の結果、G-アクチン水和水の方がF-アクチン水和水よりも速い運動をすることが明らかとなった。これはF-アクチン及びG-アクチンの内部運動の違いと対応しており、水和水の運動が蛋白質内部運動に影響を及ぼすことを示唆している。

口頭

鉄系高温超伝導体PrFeAsO$$_{1-y}$$及びPrFeAsO$$_{1-x}$$F$$_{x}$$の構造解析

樹神 克明; 石角 元志; 江坂 文孝; 社本 真一; 伊豫 彰*; 永崎 洋*

no journal, , 

鉄系高温超伝導体PrFeAsO$$_{1-y}$$及びPrFeAsO$$_{1-x}$$F$$_{x}$$について系統的に粉末中性子回折実験を行い、得られたデータに対してRietveld法を用いて構造解析を行った。まずO(O$$_{1-x}$$F$$_{x}$$)サイトの占有率及びF置換量から決定されるFeイオンの+2価からのずれ、$$delta$$と超伝導転移温度T$$_{c}$$との関係を調べた。その結果、PrFeAsO$$_{1-y}$$とPrFeAsO$$_{1-x}$$F$$_{x}$$のT$$_{c}$$-$$delta$$曲線は一致せず、いわゆる1111系と呼ばれる鉄系高温超伝導体ではT$$_{c}$$を決定するパラメータは$$delta$$だけではないことがわかった。また$$delta$$$$sim$$0の母相も含めて、同じ$$delta$$を持つPrFeAsO$$_{1-y}$$とPrFeAsO$$_{1-x}$$F$$_{x}$$の間では、格子定数やFeAs面の構造パラメータが異なっていることがわかった。2つの系でのT$$_{c}$$-$$delta$$曲線の不一致は、両者の構造パラメータの違いから生じていると考えられ、このことは1111系と呼ばれる鉄系高温超伝導体では、T$$_{c}$$の値が構造パラメータに対して敏感であることを示している。

口頭

マルチワイヤ型$$^{3}$$He検出器のSANS-J-IIへの新規導入

能田 洋平; 山口 大輔; 小泉 智

no journal, , 

研究炉JRR-3集光型偏極中性子超小角散乱装置(SANS-J-II)では、これまで櫛型電極からなるシングルワイヤ型検出器が用いられてきたが、入射中性子頻度が10000cps以上に達すると数え落としが生じるという問題があった。平成22, 23年度にC3ビームライン上流側ガイド管のスーパーミラー化が実施される予定であり、結果として得られる高強度中性子ビームを漏れなく検出することが是非とも必要となる。このような要請に応えるため、多数本の1次元棒状検出器を平面状に配列したマルチワイヤ型検出器を導入した。$$^{3}$$He棒状検出器(東芝電子管デバイス社製、E6882-650)を80本配列することで2次元面を構成した。データ処理システムはJ-PARCで標準となっているPSD2Kシステム及びDAQミドルウェアをベースに開発を行った。波高弁別の閾値設定及び検出器間の高さ補正及び縦横方向のチャンネル幅の決定といった校正作業の末、標準試料(TUNブロックポリマー)による散乱の観測及び解析の結果、分光器としての健全性が確認できた。

口頭

中性子小角散乱法による放射線プロセスグラフト重合反応のその場観察

小泉 智; 前川 康成; 八巻 徹也; 澤田 真一; 岩瀬 裕希*

no journal, , 

$$gamma$$線などの放射線を照射したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(テフロン)のフィルムはスチレンモノマー溶液に浸すとフィルムはモノマーを吸い続けて膨潤する。これは前照射によって発生したラジカルが長時間にわたり安定に存在して、フィルム内部でラジカル重合が継続することによる(1959年Chapiro)。この例のような放射線プロセスによる固相重合(放射線グラフト重合法)の歴史は古い(Chapiro,田畑米穂,林晃一郎らの総説)。一般にテフロンフィルムは化学物質を寄せ付けず化学薬品に対する耐性に優れる。しかし放射線プロセスを用いればこの常識に反してラジカル重合でテフロン基材にイオン伝導性グラフト鎖をフィルム全体に均一に導入することができる。この手法は、例えば固体高分子形燃料電池用の電解質膜の開発において有効である。本発表では時分割中性子小角散乱法(SANS)によりPTFE基材膜へのスチレンのグラフト重合過程をその場観察した。その結果、テフロン微結晶の周辺にグラフト鎖が成長する様子を小角散乱の時間変化より詳細に解析することができた。

口頭

J-PARC NOVAを利用した高圧中性子回折による希土類2水素化物の圧力誘起相分離

本田 充紀; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 町田 晃彦; 片山 芳則; 有馬 寛; 小松 一生*; 大下 英敏*; 大友 季哉*

no journal, , 

LaH$$_{2}$$で観測された圧力誘起相分離現象の解明に向け、各相の水素濃度変化を調べるためJ-PARC BL21 NOVAにて実験を行った。LaH$$_{2}$$及びLaD$$_{2}$$の違いを確認,認識し、中性子回折パターンから(重)水素量を見積もることを目的とし、常温・常圧下での中性子回折実験を行った。LaH$$_{2}$$では予想通りバックグラウンド(BG)の高い結果となったが、重水素化したLaD$$_{2}$$では重水素の非干渉性散乱断面積が水素の1/40と小さいことからBGの低い回折パターンを取得できることを確認した。得られた結果からLaD$$_{2}$$及びLaH$$_{2}$$の格子定数aを算出した結果、a(LaD$$_{2}$$)=5.625, a(LaH$$_{2}$$)=5.647であった。LaD$$_{2}$$及びLaH$$_{2}$$の中性子回折測定結果から強度比の比較及び格子定数からの水素量の算出については、RIETANによるLaDx及びLaHx(X=0, 2, 2.5, 3)のシミュレーション結果と比較を行い、x=2の結果と実験結果が近いことを確認した。Klavins(1984)の文献からD/La, H/Laを見積もると、[D]/[La]=2.28, [H]/[La]=2.27であることがわかった。LaD$$_{2}$$を用いた高圧中性子回折実験についても報告する。

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